著者:ひろゆき
・ひろゆきのファンだから。
・2chを含むネット業界に興味がある
の両方どちらでもないのだけれど、なんとなくamazonでクリックしたら家に届いたので読んでみました。
◆2chはなぜ潰れないのか
まず、2chが潰れない理由は最初にさらっと語られるのですが、「公権力からそんなにマークされてもいないから、ユーザーの支持がある限り(使われ続ける限り)存続するでしょう。」という結論。
「公権力に敵対もしてないから大丈夫」ぐらいの感覚ですね。
・・・細かい理由は本で読んでくださいな。
まぁ、そうかもな。というぐらいの説得力を持って聞くことができます。
2ch自体が反政府活動を支援している訳でもなく、警察へのログの提出を拒んでいるわけでもなく。
あとはユーザーが見放さない限り、基本的に問題はないのではないでしょうか。
◆web2.0やCGMやセカンドライフに関する言及と公開APIの嘘
Q:web2.0ってうさんくさい定義だよね。実際、何のことなの?
Q:セカンドライフって、ホントに流行ってるの?流行るの?空騒ぎじゃないの?
そんな風に頭の片隅で考えている人もいると思いますが、一応の理屈をつけた上で
A:web2.0はマーケティングの為の題目だよね。
A:セカンドライフは流行らないね。だって1エリアに50人しか入れないし。
と、ばっさりと話が展開するのは読んでいて爽快。
さらに踏み込むと「インターネットは始まって以来、技術的に大きな進歩はしていない」など、確かに言われてみればそうだなぁ。と、思うような言葉が多かった。
「公開APIを使ってマッシュアップしたサービスを!」
といった「いかにもweb2.0」的な機能に関しては、結局APIを公開している会社のサービスを脅かす(サービスの質/負荷)場合はAPIを切られる。
つまり、そこから新しいものが生まれるというのは詭弁であり、嘘だ。
と言う感じにバッサリ。
ニコニコ動画も同様にyoutubeから切られていますし。確かにその通りですね。
フリーライドだけでサービスを作ること(web2.0的な集合知展開)は資本主義的なものに阻害されて実現出来ない。と。
もっと言っちゃえば、API公開はその母体のサイトを盛り上げる為以上のものではないし、株価対策とさえ言えるかもしれないですね。web2.0企業です!最先端です!さぁ株を買ってください! 的な。
自分は結構騙されやすい性質なので、こうやって世間に擦り込まれた認識をリセットできる言葉があるのは非常に助かるかも。
◆ネットで成功した会社
Googleを企画力・営業力に優れた会社。
mixiをブランド構築の上手かった会社。
として例に挙げていて、いわゆる「ネット企業は革新的な技術があれば大儲けできる」という嘘を浮き彫りにしているのも面白かった。
高い技術力。魅力的なコンテンツ。それを売りにする所(サイト/企業)は意外と結構あって、その中でいかに成功するかとなると結局はリアル世界と同じく「営業力」「企画力」になる。
ここらへんはネットベンチャーがことごとく沈んで行った事を考えると感慨深いですね。
mixiの上場に関してもちょっと触れていて
上場すると経営権をコントロールされる恐れがあり、そもそも収益性の高くないネット企業なのに収益体質を目指さざるを得なくなり、サービスが低下するのではないか。と危惧していて、面白いです。
実際にモノ(物質)を売っていないネット企業が、モノを売って売上を上げている企業よりも株価が高いのは、やはり何かおかしいのではないか。
という考え方も地に足がついているというか、忘れ去られていた視点で面白い。
◆この本は特に「これが結論!!!!」みたいなものは無いのですが、
インターネット、ネットベンチャー、web2.0、CGM系サービス、セカンドライフ、google、mixi
そんな言葉や媒体に関する論説には「夢」や「希望」がいっぱい詰まっていて、現実をなかなか感じることが出来ません。
「ネットの夢」でちょっと熱くなっている(ちょっと騙されている)人にはクールダウンできる良いテキストなんじゃないでしょうか。